雪原(茂木村飯香浦名 雪原) 飯香の浦にある雪地名

長崎は日本の西の端、冬型が強ければ多少雪も降りますが昔に比べればあまり積もることはありません。そんな長崎市内の東側にある飯香の浦にはその名も雪原という地名があります。長崎で雪の地名なんて気になります。

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こちらは太田尾側の海岸線から見た雪原方面、枇杷崎の手前にある出っ張った小岬が雪原になります。海岸線沿いに切り立った断崖地形です。さて雪原の読みですが最初は「せつげん」かとも思いましたが「長崎県の小字地名総覧」にある読みでは「ゆきはら」とあります。なぜこんな場所が雪原なのかとても不思議です。

ちなみに雪原の海岸線上はビニールハウス並ぶ果樹園地帯になっています。恐らく枇杷栽培でも行われていると思われます。

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こちらは枇杷崎より見た、雪原、ちょうど釣り人の上に見える崖上の小岬が雪原になります。雪原先に見える岬の裏側は太田尾になります。太田尾側からですと海岸沿いに雪原近くまで行くことが可能ですが枇杷崎からは釣り人のいるところまでが歩いてける限界です。現地にて確認済み(海を泳いで渡るなどもちろん無謀です。)

実は飯香の浦、太田尾どちらの海岸から雪原を目指すにもいつも行けるわけではありません。大潮や干潮に近い時間帯であることが条件です。それだけ難易度が高い場所ですので釣り人か私みたいなもの好き以外は普通行かない場所ですし、秘境感求めて無謀な行為などは慎むのが一番です。

そんな辺鄙な場所にある雪原、もちろん飯香の浦が好きですので注目していましたが、他にももうひとつこの地名に注目した理由があります。それは明治時代に書かれた「長崎地名考上巻」になぜかこの雪原の記載があったからです。
そこには「雪原(ゆきのひら)雪厚い飯香浦にあり其浦の海面に突出たる所をいう」と記載があります。

この長崎地名考から見ると少なくとも当時は「ゆきはら」ではなく正式な呼び名が「ゆきのひら」であった可能性が高そうです。時代や当て字ために時代の変化で「ゆきはら」と変化した考えるのが自然な気がします。

ちなみに伊能大図や測量日記には残念ながら雪原の地名が見られませんが、雪原とほぼ同じ地点の地名に旅篭瀬という地名があります。江戸期はこんな呼び名の時代があったのかもしれません。長崎名勝図絵ならびに長崎古今集覧にも地名の記載があります。

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上記写真は2010年に撮影された茂木村飯香浦名 雪原(長崎市飯香浦町)の空中写真です。「国土画像情報(カラー空中写真)国土交通省」より引用、枇杷崎と太田尾を結ぶ海岸線上にある小岬が雪原です。ちなみに小字としては海岸部付近が下雪原でその太田尾側方向の内陸部が雪原となっています。飯香浦バス停から内陸に雪原方面へ行く道はありますが果樹地帯ですし、私道かもしれませんので君子危うきに近寄らずです。

さて長崎地名考にも取り上げられた雪原の地名ですが、地名の由来を考えた場合はやはり「ゆきのひら」が原型だったと考えられます。雪原の陸側は果樹地帯になっていますが、原とよべるような場所ではありません。また原には平の意味でもあるので間際らしいですが当て字として原の当て字がされたのかもしれません。そう考えると雪原(ゆきのひら)の平部分は長崎では江平、浪の平、川平のようによく使われる崖や傾斜地の意味での平と分かります。

あとは雪の部分ですが、「長崎地名考」では雪にからめた記載となっていますが特別、雪が多い地域ではなく雪の意味で使われたとは思えません。恐らくは柑橘の柚子の木があったことから短縮され柚木となり当て字として雪となり柚木のある傾斜地(崖)と言った意味として雪原(ゆきのひら)の地名になった可能性が高いと思います。

今日は飯香の浦にある気になる地名、雪原(ゆきのひら)のおはなしでした。

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